「このバカ娘ーーーー!!!」

またビンタされました。

さっきのは理不尽にやられたけど、今回は正当なので受け止めるしかない。

「お、お母さん。落ち着いて」

「これが落ち着いていられると思ってんの!?
ほら、お父さんもなんか言いなさいよ!」

「う、ええ?」

「このバカ夫ーーーー!!」

うわ、私より強く、そして往復でビンタ。

お父さんが可哀想に見えてくる。

すぐに矢那瀬先生が止めに入った。

「お母様、落ち着いてください」

「はっ、先生!申し訳ありません!
うちのバカ娘が…」

「いや、まだどちらからも事情を聞かなきゃいけないので…」

「そういえば被害者の長谷川さんはどこですか!?謝罪させて下さい!」

「待ってください。長谷川さんは意識を取り戻していません。
なので、後日事情を聞いて謝罪させるつもりです」

「意識を失わせるって、このバカ娘ーーーー!」

痛いっ!

今度は頭に最強のチョップをくらった。

「ごめんなさい!ごめんなさい!
本当にうちの娘がやらかしまして、申し訳ありません!」

「ですので、謝罪は後日…」

「長谷川さんが運ばれた病院を教えてください!今から謝罪しに行きます!」

「ですが今…」

「お願いします!!」

お母さんは土下座した。

これほど私を強く想っていたのかを、改めて感じた。

結局、矢那瀬先生が折れて私たち(紗菜も含めた)は病院へ向かった。