「ちょっと待て」
「「ぐえっ」」
襟を誰かに掴まれて、首が絞められて変な声が出た。
「あんたたち、何を帰ろうとしてるの」
「やっ、矢那瀬(やなせ)先生!」
私たちの顔は青ざめる。
矢那瀬百合(ゆり)。
私たち野木丘学園生徒の、永遠の天敵。
女性教諭だが、とても恐い。
鬼、恐怖の塊。
「か、か、帰ろうと、なななんかししししてませんよ」
「嘘をつきなさい、さっきの長谷川さんの原因はあなたたちでしょう?」
「「ヒィっ」」
顔が恐い。
矢那瀬先生の顔が恐い。
「職員室までご同行願おうか」
「「……はい」」
もうダメだ。

