次の日。
今日は普通に学校である。
廊下を歩いて教室に向かっていると、D組の方から声が聞こえてきた。
「なぁ、佐織ちゃん。今週末どっか二人で行かねえ?」
声の主は品川、女の敵だった。
そして、私はアイツの背中にドロップキック☆
「品川アアアアアアアア!!!!!」
「キャー~ーーー!(ドガッ)ぶへっ、いった!」
品川の体がぶっ飛んで、顔から壁に打ち付けられた。
「女子みたいな声出してんじゃねー!」
なんだ、なんだと教室が騒然となる。
「ソフト部のキャプテンにまで手ぇ出そうとしてんじゃねーぞ。お?」
「恐い恐い恐い恐い!!!!」
「昨日、職場体験で、お前の弟見たぞ」
「えっ、伸一(しんいち)のこと?!」
「やっぱりお前の弟かーーーー!!」
「なんでなんでなんで!?
痛い!ちょっ、痛い痛い痛い痛い!」
ラリアット、からのローキック☆
踵落としも炸裂する。
3分後、コテンパンにやられた品川の前に仁王立ちしたら、D組の人たちから拍手が送られてきた。
「プロレス女王!」「ありがとう、菊崎さん!女の敵をこらしめてくれて」「つえー!」
「まぁまぁ、こんなもんよ」
観客を静める。
「なっ、なんだよ!俺お前になんもやってねーだろ!」
「お前の弟にやられたのよ!」
「えっ!?まさか、アイツと…」
「違う!ヤったじゃない!やられたの!」
「どーゆーことだよ!?」
「だーかーらー、あんたが弟に植え付けた知識であんな残念な子になったんでしょうが」
「……お前、もしや、触られた?」
「yes」
「……………あ、うん、すまんな」
「それで済むと思ったんかーーーー!!」
「ぐへぇっ」
今度は背負い投げ。
前に近所のおじさんに教えてもらった技だ。
「フン!もういい、スッキリしたし」
暴れるだけ暴れて私は、一礼して「失礼しました」と言って教室を出た。
気づいたら廊下にまで観衆が。
ヤバい、先生にバレたら怒られるかも…。
「茜、お前何してんだよ」
陽太だった。
「もう聞いてよー!昨日さー」
私は昨日あったことを全て話した。
「すげえ、そんな保育園児がいるんだな」
「私が触られたのも、全部アイツのせいだからね、伸一くんは悪くないもん」
「それで…」
「ドロップキック&ラリアット&ローキック&背負い投げかましてきた」
「ははっ、お前すげぇな」
「でしょう?」
二人で爆笑した。
気付くとそこは私の教室の前だった。
「はー、めっちゃ笑った。
じゃあな」
「うん。今日は一緒に帰れるよね?」
「ああ、校門のとこで待ってて」
「わかった。後でね」
「おう」
そうして陽太と別れた。
私は今日から2ヶ月くらい『強神』というあだ名が付けられた。