「あれ?ソイツ誰?」

優太がしんいちくんを指差して言った。

「しんいちくんっていうの。
可愛いでしょ」

「え?いや、まあ、そーだけど…。
ソイツさぁ…」

「わー!鬼来たよ!おねーちゃん!」

「あ、ホントだ!
優太もあっち行こ!」

ぐいっと優太の腕を無理やり引っ張って移動する。
自分もしんいちくんに引っ張られてるから、走りにくい。

「ちょっとはぐれるぞ」

「え?」

優太の声も理解できずに振り返ると、私としんいちくんを繋いでいた手は離されて。

優太と手を繋いで違う方向へ逃げた。

「ちょ、ちょっと!」

「話あるから」

足が速くて、着いていくのも一苦労だ。

取り残されたしんいちくんは、私達がいなくなったことに混乱して、しかも鬼になってしまっていた。

可哀想に…。

「ここなら良いかな」

園の建物の陰に隠れた。

「あいつ、しんいちだっけ?」

「…うん」

と言うか、手を離してほしい。

他の男と手を繋いでていいのかな?
…ダメだよね。

だからぱっと、手を自分から離した。

「あ、ゴメン」

謝ってきたから少し驚いた。

「え?何が?」

「夢中だったから、離すの忘れてた」

「あ、ああ。そっか」

なんか、自意識過剰だったかな。

まだ優太が私に気持ちがあるかも、なんて。