今日から野球部は朝練があるそうで、一人で登校した。

「あ、お早うございます」

「お、茜ちゃんおはよう」

校門の前で会ったのは、部活の時に一番仲良くしてくれた陽菜乃(ひなの)先輩だった。

「茜ちゃん肘は大丈夫?」

「もうだいぶ動かせるようになりました」

「おー、それはよかった」

「先輩は受験の方はどうなんですか?」

「N高校くらいかなぁ」

「えー!N高校って頭良いじゃないですか!」

「私が行きたいのはT高校だからさ」

「そうなんですかー。でもT高校の方がランク下じゃないですか?」

「私が学力より、家からの近さを求めるからな」

「……そうなんですかー…」

「あっ友達いたわ、じゃねー」

すごい勢いで先輩は走って行ってしまった。

進学か。私も考えなきゃいけないなぁ。

ぼんやり考えていると、朝の放課が終わるチャイムが鳴ったので急いで校舎に入った。