「あ、あの陽太…」

ガッチリとホールドされてて、離れられない状態となってしまった。

「す―…す―…」

寝てるーー!?
これは狸寝入りとかじゃなくて、本気で寝てるやつだーーー!

「もー…」

無理やり手をほどいて
私は布団からこっそりと出る。

起こさないように神経使いすぎた…。
出るのに15分もかかった。

「ん…あかね…」

「ん?なに?」

振り向くと、それはただの寝言だった。

額に汗をかいてる。
熱でうなされてるのかな…苦しそう。

「まっ…て、奈々…」

「………え?」

奈々?奈々?奈々?

私の脳内の辞書には奈々っていうのは、ただ一人。



陽太の……元カノ。