「あ、あ、茜…」
翌朝、紗菜とではなく陽太と登校した。
そして優花や、他のソフト部の方たちにさっそく昇降口で見つかってしもうたよ。
「て、ててて手をつないでるということは…」
「付き合うことになりました」
「キャアアアアアア!!」
「ちょ、興奮しすぎ」
「こっれが興奮しずにいられると申すのか、そちは!!」
「いや、なにそのしゃべり方。何時代だよ」
「リア充時代じゃあ!!」
なんじゃそれ。
平成だよ。
できたとしても、平成の後がリア充時代とかやだよ。
「おめでとー!!!」
キャプテンの佐織(さおり)がめっちゃ笑顔で祝福(叫んだ)してくれた。
「うん。ありがとう」
「どうしよう!?このあと打ち上げする!?」
「せんでいい」
「パーティーだアアア!パーティーピーポーだアアア!!」
「フゥゥゥゥ!!」
皆は騒ぎながら、階段を上がって行った。
「楽しいやつらだな」
「うるさいだけだよ」
言いながら笑いがもれる。
本当に、楽しい。
「でも、お前の一番は俺だからな」
「…………っ」
「わかったは?」
「……わかったよっ」
「よろしい」頭を撫でられる。
学校でやめてほしい、こんなこと。
私、すぐ顔赤くなっちゃうから。
赤面症だから…。
恥ずかしくなって、わざと大きな音をたてて階段を上る。
「おい」
「なによ」
「お前のそれで階段崩れて校舎も壊れちまうからやめろ」
「そんなに重いわけないでしょ!」
バシッと陽太の頭にチョップしてやった。
「いってえ…」
「デリカシーのないおぬしが悪い」
「そんな怒んなってー。
今日も可愛いよ、茜」
「…なっ」
「いつも思ってる」
「…………っ」
「じゃあ」
気づいたら教室に着いていた。
あんな恥ずかしいことを言ったくせに、案外別れた方に呆気なさを感じる。
「もうちょっと、一緒にいたかった…」
誰にも聞かれてないことを確認してから教室に入った。
「なによ、あれ…」
私たちは、その光景を誰かに睨まれていたことを知らずにいた。