「失礼しまーす」

ノックをしてから保健室の扉を開けるとそこにはいつもの所謂、〈保健の先生〉の河野(こうの)先生が座っていた。

「あら、どうしたの?菊崎さん。
珍しいわね」

「うう~。先生聞いてくださ~い」

私は泣きながらけがをした経緯を説明した。

「それは痛いわね~。
肘曲げられないの?」

「曲げることは出来ますけど、曲げるとめっちゃ痛いです」

「なら無理に動かさなくていいわよ」

すごく痛い。


今まで部活をやってきてこんなに痛かったことはない。


「今は氷当てとけばいいけど、それでも全然なおらなかったら帰って病院行ってみなさい。結構重傷かもしれないから」

「でも、夏の大会が…」

「確かソフト部は、大会の時期が早かったわね。あんまり痛むのならこのまま帰って病院に行きなさい。お母さん呼んでもいいわよ」

「………いいです。氷持って戻ります」