私はソフトボール部で、ファーストをつとめている。
私と同じ2年生は15人ほどいて、3年生は5人しかいない。
「次、ファースト!」
「はい!お願いします!」
今は1年生にノックの練習風景を2、3年生がお手本として見せている。
そして私の番が回ってきて、すごく強いショートバウンドの球が飛んできた。
私は強いショートバウンドの球がとても苦手でいつも体に当ててから捕ってしまう。
いつもはなんとか足に当てるが、今日はいつも通りにはいかなかった。
「痛った!!」
「大丈夫か、菊崎!」
ボールが肘に当たったのだ。
大丈夫なはずがない。
痛い、痛い。
こんなに痛いのは生まれて初めて感じる。
「とりあえず、保健室いって氷もらって来い」
「…はい。行ってきます」
「誰か付き添いいるか?」
「イヤ、いいです。一人で行きます」
誰かと行って泣きそうな痛みを悟られるのが嫌だった。
顧問の伊藤(いとう)先生は「そうか」と言って、私がグランドを出ると練習を再開していた。

