【優太side】

俺達3人は、並んで歩いていた。

こんな風景も、いつぶりだろう。

そして茜の浴衣姿は、やばかった。

今もドキドキがおさまらない。

まだその姿を堪能したかったから、一歩後ろを歩いてそれをじっくりと改めて見た。

やっぱり、かわええ…。

「このあとどうする?」

茜が訊いた。

「どうするって?」

俺より先に陽葵が答えた。

「まだ遊ぶ?ってこと」

「んー、別にいいけど。
オカン達がうるさそう」

「私んちなら誰もいないよ。
お母さんもお父さんも優太のうちに遊びに行くって言ってた」

「なら何時まででもOK?」

「ザッツライト」

日本語なまりの英語を言ってから、親指を立てる仕草をする茜がかわいかった。

「優太は?」

ドキン。

後ろにいた俺に二人が振り返った。

陽葵はともかく、茜に急に振り向かれると心臓がはねる。

そして息が詰まって、一瞬固まる。
一拍おいてから、俺は答える。

「いいんじゃない。
茜のマンガ最近借りてないから読みに行かないと」

「えー、最近少年マンガ買ってないよ。
少女マンガばっか」

「いいよ。それでも」

何も理由がないんじゃカッコ悪い気がして、読みもしない少女マンガを読みに行かないといけなくなってしまった。

「じゃあ俺は何しよっかな」

「私の宿題やっとけば」

「やだよ」

二人が笑いながら喋っている姿を見ると、自分が入れない壁を感じることが時々ある。

実は俺は、出会ったのが一人だけ遅い。

茜と陽葵は、生まれてから隣に住んでるけど、俺は小学校に上がる前に引っ越してきた。

だから、実際俺より陽葵の方が茜と仲がいい。

うらやましい。ずるい。

たまに嫉妬で胸が張り裂けそうになる。

だけど、そんな子供っぽいことを考えたって、時間が元に戻ってくれないことぐらい割りきれるようになった。

最近、陽葵は茜に対して妙に積極的だ。

何かしたことくらいわかる。

だけど聞くことが恐い。
陽葵と何かあったのか。

一言だけなのに、たったそれだけで落ち込んでしまいそうな、自分が恐い。

「それにしても優太、大人になったよね。
陽葵もそう思うでしょ?」

「ああ。確かに。
子供っぽいのが少し抜けたよな」

「そう、それ」

また二人が振り返った。

「自分でもそう思うんでしょ?」

茜の笑顔はにっこりじゃなくて、無邪気な笑顔のニヤリという表情だった。

「…え、あーそーかもな~」

「ナニソレ、超てきとーじゃん」

「優太は大人になったよ。
たまに子供っぽくなるけども」

二人がまた俺を見て笑った。

まあ、いいか。

3人で笑えるなら。

茜が楽しいと言ってくれるのなら、

俺は恋が叶わなくったって、


いいや。