料理が苦手な私は、チャーハンとオムライス、しょうが焼き。
以上の3つを作ることができる。
父には「それだけのレパートリーがあれば問題ない」と言われたけど、さすがに3つじゃ少ないと思う。
今日はチャーハンだ。
3つしか作れないから私は、3つの料理を極めてきた。
その結果、チャーハンはものすごくパラパラに仕上がるし、オムライスの卵はトロトロになり、しょうが焼きは焼き加減が絶妙だ。
パラパラになったチャーハンを少し大きめな皿に盛れば完成だ。
よし、大成功。
でも少し余ってしまった。
それは今日の晩ごはんにでもしてもらおう。
遅めのお昼ごはんに、手をつけようとしたらピンポーンと、インターホンが鳴った。
誰だよ、こんないいときに。
私は受話器をとって、あからさまに不機嫌な声で答えた。
「はい」
「あ、俺だけど」
そこに立っていたのは、優太だった。
「優太か。
待ってて、今出る」
玄関を開けると、優太と陽太も立っていた。
「ひ、陽葵……」
「おす」
「……お、おす」
「ま、お前らそんなにギクシャクしずにとりあえず中入ろーぜ」
「優太、ここは私の家だよ」
「そう言わずに。なんかいい匂いするし」
「あ、チャーハンが…」
「いいね~、チャーハン。
食べるわ」
優太は私にお構いなしに、家の中に入って行った。
陽葵はこちらを窺うように私を見つめていた。
「いいよ、陽太も食べてけば。
余ってるし」
「ああ。もらう」
優太に気まずいのがバレるのは嫌、という思いは陽葵も同じようで、私たちはいつも以上に素っ気なくした。

