恋の練習屋

そんな心の底からの願いも、連れて行かれた場所で頭の中から吹っ飛ぶ。


「……こ、ここ……」


「ん?遊園地」


「その位、分かるわよ。なんで……」


ここに、連れてきたの。


声にすることは出来なくても、宮原陸にはなんで、の続きが分ったらしい。


宮原陸はニヤリ、と悪戯に微笑する。


「言っただろう?あんたは恋愛を振り返れと」


「……余計なお世話」


「その余計なお世話を頼んできたのはどっち?」


だめだ、こいつには勝てる気がしない。


平然と笑っている宮原陸を見ていると、口で勝てるはずがないと悟ってしまう。


それでも、悪趣味だと思う。


ここは、30人目の彼氏、諒との初デートの場所なのだ。


ただの遊園地。ただの遊園地なんだけど、昨日の今日だ。関連付けない訳がない。


……ここで逃げ出すのは、女が廃る。


自分にそう言い聞かせて、一歩ずつ踏み出す。


「……あんたなんか、嫌いよ」


精一杯睨んで、精一杯低い声で宮原陸に唸った。


それに対して、宮原陸は満足そうに笑って、歩き出す。


「その眼、いいね」