「美咲ぃ……。また別れたの?」


「うん」


「美咲にしては、長く続いたんじゃない?」


そうね、と淡白に受け流せば、親友の日向知奈はガックリと項垂れる。


「そーゆー素っ気無いとこがダメなんじゃん」


「……分かってるわよ」


彼氏と別れる度聞かされる言葉につい、そっぽを向いてしまう。


分かってる。分かってるわよ。


私の容姿はキレイか可愛いで聞いたら、可愛いと答えられる方だ。


ふわふわしてる、って言われるし、女の子の鏡とも言われる。しかし、外見が可愛らしくても、内面もそうとは限らない。


甘え上手でもないし、頻繁に好きだとも言わない。毎日メールもしないし、どちらかと言うと、面倒だからしなくて良い。


告白をしてくれる相手は、私との恋愛は甘々なものを想像してくるらしく、私の素っ気なさをみて、大体の人間が苦笑いする。


私は、毎日メールや電話をするよりも、たまに、タイミングが合ったときで良い。


毎日好きだと言うよりも、たまに、好きだと言うほうが良い。


相手に依存や執着をせず、それでも相手がいないと人生にハリがないと感じるような、そんな恋愛がしたい。


それのどこがいけないの。


あっちが勝手に私のことを好きになって


勝手に私との恋愛を想像して


勝手に失望して


勝手に浮気して


勝手に別れを切りだされる。


終いには、勝手に加害者扱いだ。


名誉毀損も甚だしいったらありゃしない。


何が悲しくて、私は毎回毎回彼氏の浮気現場を目撃しないといけないのだ。