恋の練習屋

「……じゃぁ、どうすれば良いのよ」


あんたの言う、反省が私には分からない。


後悔なしに、どう反省すればいいの。


そう言うと、宮原陸はふ、と息を吐くように小さく笑って答える。


「思いだせ。最後の彼氏との思い出、全て。詳細に、どんな小さな言動もあまさず」


宮原陸の言う通りに目を閉じて諒との思い出を遡る。


告白は……たしか、諒からだったっけ。


『好きです!つ、付き合ってください!』


真っ赤な顔で、噛んで。そりゃぁもう、残念だった。でも、それがなんだか温かくて。OKしたんだ。


どんな時も諒は優しくて、温かくて、少し馬鹿で。


どんなに私が仏頂面でも、笑って頬を突いた。


実は、私も頬を突かれるのが嫌いじゃなかった。むしろ、好きだった。


突かれた指先から、諒の想いが熱として伝わっているように思えたから。


私は、素直じゃないから、中々甘えたりしない。だから、諒が代わりに甘えてくる。私もそれを基本拒んだりしなかった。


『なぁー、美咲……。好きって言って』


『んー……。やだ』


『お願い』


『やだ』


そんな不毛なやりとりが永遠と続く。


最初は本当に面倒だったけど、いつの間にか、私にとって心地のいいやりとりに変わっていた。


諒の隣はいつも陽だまりのように温かくて、その温かさに甘えて、微睡み、なにも視えなかった。いや、視ようとしなかった。