どうしようもないくらいのバカ弟に可愛らしい彼女が出来てから一ヶ月。


「……ごめん、もう。限界だ」


「……え?」


私の人生最長の恋が、終わった。


「美咲って、もっと甘えてくると思ってたのに、想像と違いすぎたんだよね。俺の勝手な思い込みだったのかもしれないけど」


苦笑いの彼は、後頭部を掻きながら罰が悪そうにそう言った。


想像と違いすぎた。


あー……はい、はい。なんかね、慣れすぎたわよ。


私の恋愛は、どんなタイプの人間と付き合っても不思議なことに、終わりはワンパターンだ。


なぜか半年以上続かないのだ。


最長記録のこの彼でも、7ヶ月強。


そして、別れる前日に私は彼氏の浮気を何かしらの形で目撃する。


今回も例外ではなく。


昨日、見ましたよ。あなたが知らない女と腕を組んで歩いているところ。あと、キスなんかもしてましたね。


挙句の果てに、別れる理由を聞くと、必ず「想像と違いすぎ」と言われる。


人によって言い方は違えど同じ意味合いの言葉が返ってくる。


こちらも、いわずもがな。


フォローは入れられても、言葉の意味は「想像と違いすぎた」だ。


私とて、浮気している相手と付き合えるほど心は広くも深くもない。


それに別れるなら、別れるできちんとけじめをつけたい。


だから、私は黙って頷いた。