螺旋上の赤

(——何?何なの?何だったの!?)

しばらく呆然としていたが、ふと冷静になる。
とんでもない事が起こった事に漸く気付く。
下を向いてパニック状態を落ちつかせるのが精一杯。

頭だけじゃない。
胸の中も、子供が布団の中で暴れてるみたい。
メチャクチャに心音を撒き散らしてる。
きっと顔も紅葉のような色をしていることだろう。

慌てて振り返ったけど、そこにはもう誰も居なかった。

(くそぅ……乙女の唇を何だと思っているのか……!)

どこのどいつか調べ上げてやると心に決めたところで、何気なく腕時計を見た。

(あっ!花奈と1限一緒に行こうって約束してたんだ!)

待ち合わせの学食まで猛ダッシュ!
またヤツに出くわしたら、この勢いでドロップキックじゃ!とか思いつつ。