螺旋上の赤

自転車カゴに載せたカバンを取り出そうとしていると、ふいに後ろから声がした。

「君の名前、聞いても良い?」

(——あれ?私以外に誰か居たの!?)

番長止めを見られていたとは露知らず。
ビクッとして慌てて振り返ると、見知らぬ男がこちらを見ていた。

「君の名前、聞いても良いかな?」

(知らない乙女ににこやかに声をかけ、
 あまつさえいきなり名前を聞いてくるなんて……ナンパか!?)

不埒な考えを持つと思われる『容疑者』の特徴は以下の通り。

身長180前後 痩せ型 黒いパーカーにジーパン姿。
歳は20歳くらい。
髪型はクシュっとして、ちょっと耳にかかるくらいの長さ。
声は優しく耳触りが良くて、笑顔がちょっと素敵な容疑者だ。

「——『片桐 凛』だけど、貴方は?」

笑顔にほだされてつい名乗っちゃったけど、
人見知り全開でかなり印象が悪かっただろう。
いつもより声もいくらか低くなってたし。

「俺は『神山 有』。哲学科1年」