純情女子と不良DK



 そんでもってイケメンだから直視できないのも本当言った通り。
何度かドッグランドでも顔を合わせているから、それなり普通に会話できるようになったものの、直視は出来ない。なんかもう、眩しいのだ。かっこよすぎて。あの瞳をじっと真っ直ぐ見れる人マジ尊敬、というくらい。
……誤解を生まないために一つ言いたい。それは恋愛として好きだから相手を直視できないとかそんな乙女チックな理由では無い。断じて。


「でもまぁいい先輩してんじゃん!またみんなでやるの?」

「それが、今度は二人がいいって……」

「へぇ、そうなんだぁ!次は二人でやるん……って、え?」

「だからなんかちょっと緊張してるんだよね…でも、うんって言っちゃったからそこはもうちゃんと教えるしか…!」


 考えたらまた緊張してきてしまった。
別にそこまで深く考える必要なんてないのに!この頭は!と葉月は唸りながら頭を抱えた。
年下とはいえ、異性と二人になるなんて洋平以外になかった。だから尚更。



「その子が、二人がいいって言ったの…?」

「うん。なんかその方が集中できるらしくて…。確かに今日はちょっとざわざわしてたから、1対1のがちゃんと出来るかなって、」

「その子もしや、葉月に気があるのでは…」

「…ええ!?」



 まるでどこぞの名探偵のように顎に手をやり神妙な顔つきで言う花に葉月はギョッとした。
なんかとんでもない事を言い出した。優聖が自分に気がある?例え天と地がひっくり返ったとしても絶対に無いことだし、あんなかっこいい男の子が自分みたいな普通すぎる、しかも年上な女なんか対象として見るわけがない。おまけに今はニートだし。あ、なんか悲しくなってきた。
それに葉月としても、優聖は対象外。まずイケメンは目の保養でしかないし、好きなタイプは年上で可愛い系だし。そんな人いないけど。とにもかくにも、優聖が自分に気があるとかは、


「絶対ないから!」

「ごめんごめん冗談だって!知ってる知ってる、あんたのタイプは年上で可愛い系だったもんね」

「だから変な誤解しないでね!私も成瀬君もそういう風に見てないからね!」

「はいはい分かった分かった。…でもこれ佐久田が知ったらなんて言うか…」

「なんで洋平?」



 何故そこで関係ない洋平が出てくるのか、と葉月は小首を傾げた。
そんな彼女を見て花は小さく溜息をはく。


「洋平は成瀬君のこと知ってんの?」

「え、言ってないけど…?」

「そっかぁ。うん、まあ別にそれならいいんだけど!洋平には言わなくていいよ。特に明後日二人で勉強する件は。うん。おっけおっけ」


 何故に洋平が、という質問には答えてもらえずただ「報われないわ」とため息混じりにそう言うだけだった。葉月には全くなんのことだかサッパリだった。



「ま、とにかく勉強頑張って教えなね~。葉月成績は良かったもんね!ファイト、先輩。いや、先生」

「先生とかやめておくれ」