電車の中…


「恭二、恭二!!」


電車の中だとは思えない
大きな声で、隣に座る人を誰かが呼んだ。


派手な格好に
濃いメイク。

パンツ見えそうなほど
短いスカートを履いた女の人がいた。


「あーっと…誰だっけ。」

「やだな~。
翔子よ翔子!!この間飲み会でヤったんじゃん?」


わざとらしく、ヤったを
強調する女。


悪いけど、だから何って
感じなんですけど…


「あ~!おっぱいEカップ!」


獣さんは、女をおっぱいのサイズで覚えていたらしい。


さすがだね。


アホ。
バカ。


「そ~。
てゆか、今からどこに行くの~?」


「見てわかんね?
デート。デート。」


私に腕を絡ませ、
佐原恭二はベタベタした。

「デート!?
まさかアンタ、恭二の彼女!?それとも何、ホストの客!?」


キンキン煩い声…


ウザイ。


「あんま、騒ぐなよ。
コイツ彼女。
俺等ラブラブなんで、
邪魔しないでくんない?
Eカップちゃん」


恭二は、女に睨みつけたあと、目を閉じて私にもたれかかった。


おい…


面倒くさくなって放置すんなよ…

女は以前、恭二の横から離れない。

はあ…

「ねえ、Eカップの人さ。
ここ、電車ん中。
ギャンギャン煩いんだけど、それに香水きつい。
どっか行って。」


「はあ?
あのさ、アンタ彼女気取ってるけどそのうち痛い目みるからね!」


「忠告どーも。
じゃあね、Eカップ。」


キッと私を睨み
女は駅に降りて行った。