結衣の隣に座って、
腰に手をまわす。


「やめてよ。ホストさん。」


あ…そこはいつもと変わらないんだな。


どんなことをしても、
冷ややかな目と喋りで壁を作る。


「つうか、今はホストじゃない。彼氏。」


「じゃあ、今すぐ離そうか。獣。」


「なんだよ…つまんねえ。」


ったく…
さっきまで泣いてた癖に…


つまんなくなった俺は、
キッチンでタバコに火をつけた。


「恭二って、いつから独り暮らし?」


「1年の時。」


「そう。」


「ずっと、あの人の男の金で暮らしてた。
でっかいマンションでさ、片親なのにいい暮らしができてた。
何にも知らないガキの頃は…
それで良かった。」



なのにさ、愛人の子供だって知らされた時、
すべて嫌になった。