こんなにステキな人に会えたんなら転校も悪くないかな。
お父さんがいきなり転勤するって聞いた時は落ち込んだけど…。
「転校生だって…」
「へぇ、めずらしいな。…え?人間?なんでこの学校に人間が?」
「さあな、なんでかはわからねえけど。まあ顔は可愛いけどあまり美味しそうじゃねえよな」
「ああ、痩せてるからな」
「ねえ、ホントに人間なの?わたしたちとどこも変わらないじゃん」
さっきから周りから痛いほどの視線。
時々聞こえてくる話し声。
「あの子、このままだったら喰われちゃうね」
喰われちゃう?
もしかしてわたしのこと?
柊くんくんに聞こうとした時、
それまで賑やかだった空間がざわっと揺れた。
さっき、
教室から出て行った桜木くんがランチルームに入ってきた。
「まだ、こんなとこにいたのか」
「え?」
「今すぐ帰らねぇとどうなっても知らねえぞ」



