結局桜木くんからは何も聞けなくてわからなかった。
後は教えてくれそうな人はいない。


「つばきさん、知りたい?」

「え?」

「この学校のことを」


柊くんがランチを終えると場所を移動して中庭に案内してくれた。
ふたりで噴水が見えるベンチに並んで座った。


「この街にはね、鬼が住んでるんだよ」

鬼?さっきも聞いたっけ。
桜木くんが鬼の里とか言ってた。

「この街に住んでいる鬼が入学してるのがこの学校なんだ」

「……鬼の学校?」

「普通の人間は入れないよ。鬼だけが入れる。そこまではわかる?」

わかるなんとなく…現実離れしてるけど。


「この学校にいるみんなが鬼ってことなんだよ」


みんなが……鬼?
校長先生もクラス担任の榊先生も?

「僕も鬼なんだよ」


そう言ってわたしを見る柊くんはどう見ても普通の人にしか見えない。