あれ…


「今確かに声…」


気になって首を左右に振り確かめたが
やはり人の姿はなかった。


気のせい…?


「…まぁ、こんな遅くに人がいるわけないか ♪ 」


そう言って何もないことを確認すると摩莉は家に向って歩き初めようとした。


すると…


「…小娘聞こえんのか 」


祠の背後から人が現れたのだ。


「…わっ!」


あまりの登場に驚く余地もない。


「…やっと見つけた 」


摩莉は驚きのあまりに
その場に立ちすくむ。


「だ、誰なの…⁈」


少年の顔を見ても見覚えがなく
ただただ驚く摩莉。


…何この人


摩莉が驚くのも無理はなかった。
摩莉が見た少年とは…


背丈が摩莉の倍もあろうかという高さにスッと筋の通った鼻。

腰まであろうかという銀の長い髪に
緑色鋭い瞳の持ち主だったのだ。


「そう怖がるな。私のことが気になるか?」


柔らかな笑みを浮かべる少年。


一言話すと一瞬にして摩莉の横に立ち
耳元でこう囁いた。


「お前を探していたんだょ摩莉 」