その後は対立も起こらず順調に進んでいった。
そして、文化祭二日前。
試作品を作ることになった。
「ちょっと、男子も働きなさい!」
せかせかとキャベツを切ったりもやしを水にさらす女子の横で漫画を読みふける男子たち。
「おい、ゴミくらい捨てることできるだろ、ゴミ捨てしようぜ」
仁が声をかけるけど、動いたのは数名だ。
学級委員の向坂さんの額に青筋が走る。
「手伝ってほしいんだけど…?」
「う、うぃーす」
さすがにまずいと思ったのかいそいそと野菜や麺を手に取る。
そして、終盤。
あと少しで完成だ。
皆がそう思ったとき。
ガラガラ―
教室の扉が開いて、先生が顔を出した。
やけに焦っている。
「頼んでいた焼きそばの食材だけどな、どうやら麺とキャベツの仕入れが間に合わないらしい…!」
「…え?」
キョトンとする皆。
「それってつまり」
ぽかんとしたまま向坂さんが尋ねる
「材料が足りないってこと?です、か…?」
「そういうことだ…」
重々しく頷く先生。
「えーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
皆顔が真っ青だ
「二日前だぞ、どうすんだよ」
「今から生徒会に取り合って変更しても間に合わねえ」
「残ってる具材集めても野菜炒めしかできないよ…」
「しかももやしと豚肉だけのな」
空気を読んだのか読んでいないのかわからないが的確なツッコミに、失笑が漏れる。
「わかりました、先生」
冷静さを取り戻した向坂さん
「これからできるかぎりの麺とキャベツを調達します」
「おお、そうか、向坂。頼んだぞ」
「はい」
ガラガラ―
先生が去ったあと、沈黙が流れる。
「どうすんだよ、調達しますって、何を根拠に…」
「スーパーへ行って片っ端から麺とキャベツを買うしかない」
「えーーーーー」
皆の顔に一気に疲れが出た。
でも、それしかないよね…
「わかった。私、家の近くに安い量販店があるから、そこへいってくる」
「佐山さん、ありがとう」
「明日は、朝から文化祭準備だよね?朝一で行って、いろんなところはしごして買ってくる」
「でも…麺ならともかくキャベツを一人で持ってくるのは無理でしょ」
うっ、そうだった
「…俺も行く」
「仁?」
「真理と家近いし、二人で行ったほうがたくさん買えるだろ」
「仁…ありがとう」
「二人ともありがとう。よろしく頼むわ」
「あ、あたしバス通学だから荷物重たくても平気だし、あたしも買うよ」
「俺も、家の近くに八百屋さんあるから買ってくるわ」
教室中から俺も私もと言う声が上がる。
それまでの空気とうって変わって、まとまりがではじめる。
仁のおかげだよね。
私一人だったらきっとこうはいかなかった。
「ありがとう、仁」
「おう」
仁に微笑みかける。

