体育祭の興奮も冷めきらないまま、文化祭へ向けて準備が始まった。

模擬店で食品販売ができるのは、三年生と各部活動のみだ。

その中でも、種類が偏らないように、それぞれ第三希望まで紙に書いて生徒会に提出し、生徒会での厳正なる審査の上、決まる。

人気の模擬店は専ら執事喫茶とメイド喫茶だ。

生徒会役員の子曰く、今年は三年生10クラス中7クラスがそれらを第一候補にして提出したそうだ。



私たちのクラス?


もちろん、メイド喫茶



なんてことはない。





メイド喫茶のメの字も出ずに焼きそばの一点張りだ。





そんなわけで競争率の低かった焼きそばはいとも簡単に通ってしまった…というわけ。





「焼きそばにたくさんはいらねえ。ただ、ソースだけでいいんだ。」

「そうだ。工夫なんてなくていい。目指すのは、ザ・男飯だ。」

訳のわからないことを言う男子たち。

「何言ってんの。ちょっとでも売上上げるために、種類を選べるようにしないと!」

「ソース、塩、海鮮、少食の人のことも考えて、ハーフサイズもいるんじゃない?」

女の子からの猛反発。

ごもっともです。


「うるせえ。俺たちの焼きそばはそんなちゃちいものじゃねえ」

「ソースしか作らないあんたらの方が何倍もちゃちいわよ!!」



あーあ。

男子VS女子が始まったよ。




いつもなら女子が強く言ったら勝つんだけど、今回だけは男子も譲らない。


結局折れたのは女子だった。



「わかったわかった。味はソース、サイズは大盛り。これでいいから。」

「うおっしゃー!!」

いつも負けている男子は大喜びだ。

「だけど、せめて具材はいろいろ入れないと売れないよ」

「おう、それは適当に決めてくれ。頼んだ」

「お前らな、口出すんなら最後まで考えろよ」

ソース焼きそば大盛りが決まった途端投げ出す男子に仁が呆れた声を出す。


「宮野くん、ありがとう…!宮野くんだけだよ」

「ほんとにね」



仁って


めっちゃいいやつだな