公園内の電灯に照らされたベンチにぼんやりと人影が見える。
「仁!!」
私は駆け寄った。
「ああ、突然呼び出して悪かったな」
仁が立ち上がる。
「ううん、ちょうど帰り道だったし」
「ありがとう」
電灯を背に立つ仁の顔はよく見えない。
「全然。で、どうしたの、突然」
「別に大したことじゃないんだ」
「大したことじゃないのにわざわざ呼んだんだ」
ちょっと意地悪を言ってみる。
「悪かったな。真理会いたかったんだよ」
「え」
サラリと出たその言葉に戸惑う。
「今日はクリスマスだから」
「うん」
「いつもみたいに走り込みしてたら何度もカップルを見たんだ」
「私も」
「そしたら、真理に会いたい気持ちが止められなくなった」
私も…
「…!」
視界が真っ暗になり、ふわっと仁の香りに包まれた。
「真理…」
どうして?
どうしてなんだろう
今までは仁に抱きしめられると何もかも忘れられた
全て満たされた
なのに
どうして今はこんなに
こんなに、悲しいの?

