「はーい、ということで、今から出場競技決めまーす」
「はーい」
声を張り上げる学級委員に、間延びした返事をするクラスメイト。
「決め方なんだけど…」
「そんなん、足速いやつがリレー、力強いやつが綱引き、それ以外が残りやればいいじゃん。絶対勝ちたいし」
いるいる、こういう人。
体育祭の時期になったらやたら燃える人。
でもまあ勝つためにはそれが一番だし、やる本人もそう思ってるだろう。
「反対意見ない?…じゃあ、リレーから決めます。リレーに出たい人は?」
パラパラと手が挙がる。
「女子は四人、男子は八人か…。女子あと一人出て、それから男子は一人抜けて」
学級委員の言葉に男子が揉め始める。
「巧、お前は足も速いけど、力もあるんだし、綱引き行けよ」
「それ言ったら剛もだろ。剛と巧が綱引きにいたら最強じゃね?」
「あと一人枠余るぞ。どうすんだ?」
「うーん…。あ、仁は?あいつ速いぜ」
一人の言葉に、みんな一斉に頷く。
「なあ、仁。リレー出てくれよ。俺たちの為を思って、勝利をもたらしてくれ」
必死に手を合わせる男子たち。
「わかった」
仁が頷くとまわりから歓喜の声が上がる。
「っしゃ、これで優勝は俺たちのもんだ」
「まだ早いですよ、それに、女子も決まってません。どうしますか?」
冷静な学級委員
「真理で良くない?足速いでしょ」
リレーのメンバーに立候補した一人が提案する。
げっ、そこで私の名前あげちゃう?
「いいじゃん。真理、やってよ」
うそーん。
今年は大福食い競争出たかったのにー
でも、断れるような雰囲気じゃなかった。
「う、うん。じゃあ、やります。」
「よし、リレーは決まったね。次、綱引き…」
淡々と進めていく学級委員。
大福出たかったんだけどなー
残念。