十月に入って、これで何回目になるのだろう進路調査が配布された。
あーあ、決まってる子はいいなー。
ま、人それぞれだから。
私の志望校はずっと変わっていない。
経営学部へいきたい。
いろんなところを調べたけど、カリキュラムも雰囲気も、一番自分にあっていると感じた。
全然安全圏じゃないんだけどね。
でも、絶対にいきたい。
だから、諦めない。
仁も志望しているところだし、仁はどう思っているか知らないけど、私は背伸びしてでも仁に追いつきたい。
昼休み―
「3年5組、佐山さん。職員室に来てください」
お、これは、担任の先生の声…
なんだろう?
「おお、佐山か。」
職員室の先生のところへ向かう。
「あの、何でしょうか?」
「ああ、実はな、進路調査のことなんだ」
「進路調査?出しましたよ?」
「いや、そうじゃなくて。第一志望のことだ」
「はい」
「まあ、そのな、ここは今の君では難しい。」
「…」
「過去のデータでも、君くらいの成績で入った人はほとんどいない」
「…」
「何もここにこだわらなくてもいいだろう」
まっすぐに突き刺さる言葉。
そうだよ、そうだけど…
「無理していっても留年の可能性だってある。ワンランク下げてもいいんだぞ」
違う。
違うの。
「今の君だと、ワンランク下げても十分いい大学へ進める」
ううん、やっぱり。
「先生」
「ああ」
「今の成績では難しいことくらいわかっています。でも…」
言葉を切って先生をまっすぐ見つめる。
「私はここに行きたいんです。挑戦したいです。諦めたくありません。」
先生はふっと息をつくと
「君ならそういうと思った。最後まで頑張りなさい。」
「はい…!」
ありがとうございます、先生。
私、絶対に諦めません。

