幼なじみの君に season秋→冬


学校に着くと、昨日までの緩い雰囲気はどこへ行ったのか、皆ものすごい形相で作業をしていた。


教卓ではもう一人の学級委員、片桐くんが携帯やパソコンを睨んでいる。

携帯に着信が入ると、片桐くんは画面を割るんじゃないかというくらいの勢いで連打する。


「こちら本部。どうした、第一部隊」

何言ってんの。

そう言って笑おうとしたけど、彼は至って真剣だ。


「何、ガスコンロの燃料が予定の半数にも満たないだと?マズイな…」

ブツブツと呟きながら向坂さんを呼ぶ。

「おい、向坂女史。第一部隊での燃料の調達がうまく行かなかったようだ。」

「まだ買い出しへ行っている人がいるはずよ、その人に連絡して」

「承知した」


向坂さんと片桐くん。

なんか変な組み合わせだけど、いいコンビだよね。



教室を見回すと、皆せっせと作業している。




「仁、私たちも行こう」

「おう」



私たちは焼きそば屋の麺とキャベツが無いという危機を救ったにもかかわらず、食材を調達したことを誰にも感謝されないまま、作業に入った。