二軒目は、業務用スーパーだ。
「わあ、やっぱり安いね!」
「そうだな」
早速麺を探しに店内を歩く。
その時、ポケットの中で携帯が振動した。
画面を見ると着信の文字。
「向坂さんだ。なんだろう?」
不思議に思いながら電話を取る。
「向坂さん、どうしたの?」
「ああ、佐山さん。突然電話してごめんなさい。順調に買い物できてる?」
「いえ、それが、一軒目ではあんまり買えなくて…。今二軒目で探してる途中」
「そう。…実はね、今朝模擬店の前評判ランキングが張り出されたんだけど、私たちのクラスがトップ3に入っていたの」
「トップ3に!?」
「ええ。毎年ランキングでトップ3に入った店は当日のお客さんの利用度も高いわ。つまり、もっと焼きそばが必要なの」
「ということは、」
「店にある焼きそばの麺とキャベツを買い占めてきて」
「え、」
「よろしく」
待って、そんなに持てない
そう返そうとした時にはもう電話は切れていた。
「…向坂、なんて?」
「お店の焼きそばの麺とキャベツを買い占めてきて、だって」
キョトンとする仁
「あのね、前評判ランキング、トップ3に入ってるんだって」
キョトンから唖然になる仁
それも仕方が無いだろう。
だって、豚肉ともやしとキャベツだけのソース焼きそば
しかもサイズは選べない大盛りだよ?
文化祭の模擬店紹介にもそのまんま書いたのに…
「信じられないな」
「うん…」
「…とりあえず、買ってくか」
「そうだね」
まだ実感がわかない私たちだったけど、買い物を済ませた。
二軒目では幸いにも安価でたくさんの麺とキャベツを購入できた。
それでもお店にはまだまだ在庫があったので、後ろめたい気持ちもない。
ただ、店員さんの不審そうな目は私に冷たく突き刺さった。

