桜に残された質問は後2回のみ。


それで答えまで辿り着かなければならない。


そのせいか、キリッと右手の親指の爪を噛む桜の姿が守の目に入った。


「じゃあ、……次は。……Is it round?(それは丸いですか?)」

「No」


不安そうな顔を修二に向けそう訊く桜に、相変わらず淡々とした口調で修二が答える。


そんな修二の姿を見て、安心した様にほっと息を吐き出す桜。だが、それが守は気に食わない。


桜がというよりも、自分よりも年下の修二の落ち着きがいけすかないといった感情からだ。


自分を優秀だとは思っていない。だが、誰かに下に見られるのを酷く嫌う守。


だからこそ、修二の態度は全員を下に見ている様に感じるのだ。


そんな苛々とした気持ちの中、再び回ってきた順番により桜の口から最後の質問が紡がれた。


「Is it square?(それは四角いですか?)」



さっきの質問と違って、これなら分かる!



パアッと顔を明るくした守は、桜へと真っ直ぐ視線を向けると、

「No!」

そうハッキリと答えた。



この答えは間違っていない!