「な、何で、……わ、…私なんですか!?」
「んなもん。お茶持ってくるって言っといて、手ぶらで帰ってくるからだろうが!」
「そ…ですけど……」
唐突に指名された事に不満そうに桜が唇を尖らせるが、
「何か文句あんのかよ!」
守からのその言葉と鋭い視線にビクッと肩を揺らすと、俯いてしまった。
「い、いえ。…別に……ありません」
脅しで一番言う事をききそうな相手。それを怯えてばかりの桜だと判断した守。
その判断は間違ってはいなかった様だ。
「桜さん。無理はしなくても良いんだよ?」
「だ、…大丈夫です」
哲夫が心配そうな顔を向けるが、それに強がった様に桜が苦笑いを漏らす。
その様子を見ていたものの、桜がいつ心変りして、やっぱり嫌と言い出さないかなんて守には分からない。
だからこそ、わざと聞こえる様に大きく舌打ちをすると、
「早く行けよ」
そう桜に告げた。
ビクビクしている桜がそこでいきなり反抗する筈もなく、「は、はい。……じゃあ」とだけ言うと、鎖をジャラジャラと鳴らして部屋へと入っていく。
その後ろ姿を見て、思わず守の口角が上へと上がった。
これで、ゲームで死ぬ事はなくなった。
そう思っての笑い。


