「桜さんは、僕達の目の前で紙コップにお茶を入れてました。その間に毒は入れてません。つまり、ペットボトルのお茶に前以て毒を入れていたなら、その毒入りのお茶を全員が飲む事になるんです」
「あっ!なるほどな!」
納得して、何度か首を縦に振る守に向けられる馬鹿にしたような修二の目。
それに気付いた守が、苛立ちからチッと舌打ちを打つ。が、修二はそんな事を気にしないのか再び口を開いた。
「仮に桜さんが紙コップに毒を塗っていたとしても、その紙コップを桜さんは由里子さんに直接渡してません。由里子さんがどの紙コップで飲むかなんて分かりませんから、やっぱり桜さんには無理だと思います」
「じゃあ、誰だよ?」
誰が殺したつーんだ?
修二の言っている事は間違っていない。だが、それなら由里子を殺した奴が誰だか見当も付かないのだ。
守以外の2人もその考えに行き着いたのか、皆の視線が修二へと集まると、修二が少し顔を俯かせた。