「毒って事は、……」


そう呟いた瞬間に守の頭を過ったのは、さっき喉を潤してくれたもの。


「お茶か!!」



それ以外に考えられねぇ!

お茶を飲もうって言い出したのも、お茶を注いだのも全部あいつじゃねぇか。



そう考えると、ガバッと顔を桜へと向け再び声をあげた。


「おいっ!桜っていうお前がお茶に毒入れたんだろ!?」

「えっ!私じゃない……」


守の疑う言葉と視線に身を竦めるも、弱々しく自分じゃないと否定する桜。


だが、そんな程度で桜への疑いが晴れる事はない。


今の所どう考えても、桜が一番怪しい事には変わりないのだから。


もういっそ脅かして吐かしてしまおうかと考えた守が、桜へと近付こうとした時、

「守さん、ちょっと待ってください!」

という修二の制止の声が響く。


「何だよ!?」

「桜さんが毒をお茶に入れてたのなら、今頃僕達全員も血を吐いて死んでいると思います」

「ハッ?」


全員が血を吐いて死んでいるなんて馬鹿な事を言い出した修二に、守が思わず首を傾げた。