顔を真っ青にさせる桜に、無言の修二。その中で唯一声を発したのは「う、嘘だろ……」という守の呟きだけ。
誰だ!?
誰が殺した!?
そう思い守が、キョロキョロと自分以外の残りの3人を見渡すが、全員が怪しく見えて仕方がない。
「誰が殺したんだよっ!」
威嚇する様に声を張り上げてみるが、それに哲夫が苦笑いを漏らした。
「流石に誰がなんて分からないさ。ただ、由里子さんは血を吐いて倒れたって事は、毒が身体に回ったって考えるのがこの場合適切かな」
「毒?」
「そうですね。僕も毒だと思います」
首を傾げる守へ顔を向けることをせずに、哲夫の意見に同意する修二。
知ったかぶりやがって、年下の癖に腹が立つ奴。
そんな修二への感情が守の頭を占めるが、哲夫や修二の言った言葉が間違っているとも思えないのが現状だ。
確かに由里子には外傷は1つもない。血を吐くという事は身体の内側からという事になる。
という事は、毒殺されたと考えるのが一番しっくりくるのだ。