「哲夫さんってほんとに私の彼氏に似てる」
「そうかい?」
「哲夫さんも結婚してるでしょ?」
「ハハッ。正解だ。妻も子も居るよ」
「そうだと思った」
自分が惹かれる人は結局はよく似た人になるのだろうか。だからか、哲夫に妻子が居るという事がやけにしっくりくる。
哲夫の雰囲気からするに、良い父親なのだろう。
彼は、良い父親だったんだろうか。
そう思った後にふっと自分を笑う由里子。彼をダメな父親に変えたのは、きっと自分だという事に気付いたから。
由里子は歩いて哲夫の方へと近付くと、そっと哲夫の耳へと唇をつけ囁いた。
「あのね。哲夫さんだけに言っておくわ」
突然の事に怪訝そうな顔をしながら「ん?」と首を傾げる哲夫。
そんな哲夫に更に言葉を紡ぐ。
「時任守は、私の姉のストーカーだった。彼の罪は多分それよ」
「…………」
哲夫なら信頼出来る気がした。
何となくそう思っただけ。
だが、女の勘は結構当たるもので。由里子の話を聞いて無言の哲夫は、きっとこの事を皆に言いふらしたりしないだろう。


