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由里子と彼が出会ったのは2年前、仕事終わりに立ち寄ったバーでの事だ。
一人で飲んでいた由里子の隣に、
「隣は空いてる?」
そう気さくに話し掛けてきて座った男が彼だった。
自分よりも一回り以上も大人の男は、慣れからか話が上手く安心感もある。そんな彼の手の中に由里子はあっという間に落ちていった。
彼の名前はユウキ。
その名前だけで、名字も漢字教えてくれなかった。
名前しか教えてくれない男。傍目からは、最低の男だったのかもしれない。
たが、大人になったばかりの由里子にはそんなミステリアスな所も魅力的に見えた。
彼に妻子が居ると教えられたのは、初めて彼に抱かれた後のベッドの中。
彼の温かい体温を知ってしまって、もう身を引く気にもなれなかった。
逆にいつか自分のものにしてしまえば良いとさえ思っていた。
付き合うに連れてどんどんとのめり込んでいく由里子。
そうすると、今度は自分が捨てられるのが怖くなるのが一般的な女性の心理だ。由里子もまた、そう思った一人。


