だが、哲夫の発した「負けが決まったこの後は……」という言葉でハッとする。
そうだ。
負けてしまったら、……罪をバラされるんだ。
トットットットッ…ーー
とてつもなく早い心拍数。
それと同時にツーっと額から流れた汗。
上を見上げたまま目を逸らすことも出来ない。
ブゥン…という音の後に誰かの「あっ!」という声が由里子の耳を通り過ぎていく。
『河瀬由里子の罪は
…………不倫』
文字が目に入った瞬間、ガクッと肩を落とし俯く由里子。
ああ。やっぱりこの事だった。
そう思う由里子は自分の罪を分かっていた。分かっていたからこそ、余計にバラされたくなかったのだ。
どちらかというと、真面目な人生を歩んで来た由里子だからこそ、罪はこれしか思い付かなかった。
大好きな彼に、妻子が居る事を知っていて付き合っているという事しか。


