密室ゲーム



「いえ、ここに連れて来られる前の記憶では19歳でした。ただ、次の日が20歳の誕生日だったので、ここに連れて来られて何時間経過したかが分からないと年齢も分からないんです」


「ああ。確かにどれ位、ここで寝ていたのかが全く分からないな。この部屋には時計もないし。私の腕にあった腕時計も無くなっているしね」


納得したらしく、修二の言葉に続いた哲夫が自分の左手首を皆に見せる様に挙げる。


左手首にはいつもは腕時計を付けているから出来た日焼け跡がクッキリと残っており。


哲夫が言うように腕時計を取られたというのは本当なのだろう。



時計が無いのは、時間を認識させない為?

何で時間が分かったら駄目なの?



由里子の頭の中でそんな疑問がぐるぐると回るが答えは何も出てこない。


その間にも、修二の左側に居る由里子より歳上だと思われる女の声が響いた。


「あの、私は……。恩田桜(オンダ サクラ)です。32歳で専業主婦です」


肩より少し長い焦げ茶色の髪を雑に下の方で1つに束ねているそれが桜を年齢より老けて見える様にさせているのだろうか。