由里子の元へと再びその紙が戻ってきた瞬間、4人が自分の手元にある紙へとその言葉の意味を書いていく。
その様子を見ながら由里子はゴクッと息を呑んだ。
由里子が選んだ言葉は『姑息』。
『姑息』という言葉を聞いた事が無い人なんて殆ど居ないだろう。だがこの言葉、7割の人が間違った使い方をしている言葉なのだ。
ここに居るのは由里子を除いて4人。
その4人が残りの3割に入っているかは分からないが、由里子が勝つ確率は適当な言葉を選ぶよりも確実に上がる。
このゲームはこの言葉を知っているか?ではなく、この言葉の意味は何か?なのだから。
じっと4人の姿を見ていると、意味を書き終わったらしい哲夫が由里子へと声を掛けた。
「書き終わった紙は由里子さんへ渡したらいいかい?」
「あっ、そうして貰えると助かる」
哲夫のその言葉でそれぞれが書いた紙が由里子の元へとやって来る。
折り畳まれたその4枚の紙が由里子の手には自棄に重たく感じた。
なるべくフェアにやらなければならないゲーム。しかも犯人が見ているのなら、尚更いかさまなんて使えない。


