再び鳴り響くブゥン…という音。
今度は先程のルール説明の文が小さくなり、次の続きの文が現れる。
『出題者が勝った場合は出題者の手枷を外す事が出来る鍵を渡します。
逆に、誰かが正しい意味を書いていた場合、出題者の負けとなります。
その場合は出題者の罪をバラします。
なお、出題者は部屋に国語辞典があった者とし、ページは62,63ページとします』
「それって」
哲夫がそう言うと、心配そうな顔を由里子へと向ける。
しかし、由里子にはそんな哲夫を視ている余裕なんてない。
呆然としながら、
「私が、……出題者」
そう呟くだけ。
しんと静まり返る部屋。
だが、そこでハッとした様に由里子が口を開いた。
「あっ、でも紙と鉛筆なんて無かったから、このゲームは出来ないわよ!」
由里子の部屋にあったのは国語辞典のみ。
このゲームをするには、確実に文字を書ける物と文字を書く為の物が必要になるのだ。