そのお陰か、由里子と守の言い争いにはならずに済んだのだが。


「一応、守さんの持っている鍵と紙は目の前にある椅子の上に置いておくってのはどうですか?」


次はその修二の提案に守が食いついた。


「何でだよっ!これは俺のだろうが!」

「僕達も部屋に同じものがあるかもう一度探してみるべきだと思うので。その為に、それを間近で確認させてもらった方が探しやすいと思ったからです。鎖の長さ的に、そこの椅子までだったら全員が行けますから。

勿論、僕達も見付けたらそこに置くと約束します」


鍵を真ん中にあるあの椅子に置いておくのなら、守の憎む人に当たる人物はいつでも自分の足枷を外す事が出来るって事だ。


それだけだったなら守にとって不利だが、全員が見付けたらそこに置くという風にするなら、守にだって利はある。


が、誰も裏切らないという事が前提ではあるが。


「そ、そうだとしても、俺はそこに置きたくねぇ。近付いた瞬間何が起こるか分かったもんじゃねぇからな」


どうやら守は置いても良いと判断したらしい。