それに守も気付いたのか、「何だよー」と不満そうに唇を尖らせた。
「結局なんも分かんねぇじゃねぇかよ」
文句しか出ない守に再び溜め息が漏れる。
「そりゃ、直ぐに分かるわけないでしょ」
直ぐに分かるなら、皆直ぐにここから出てる。
ここにずっと居たいなんて思ってる人なんているわけがない。
そう思っての言葉だったのだが、守は由里子をギロッと睨み付けると、
「はあっ！」
と口にする。
嫌いなタイプとは余り関わらない様に…を心掛けている由里子だが、ここまでムカつく行動を起こす守にもう怒りが収まらない。
「だからっ！」
声を荒げて、流石に文句の一言でも言ってやろうとしたのだが、それを遮ったのは哲夫と修二だ。
「まあまあ、私達が喧嘩なんてしても何も得な事なんてないよ」
「そうですね」
哲夫に関しては自分よりも年上という事もあるが、修二に関しては年下だ。
年下にたしなめられたのを少し恥ずかしく感じた由里子は、そっと視線を下へと落とす。
