守のせいで何も進まない現状に由里子から溜め息が漏れる。


と、その時、


ジャラジャラジャラッ!


と床に激しくぶつかる鎖の音が守の入っていった部屋から聞こえてきた。


その部屋の方へと目を向けると、必死の形相で守がこっちへと走ってくる姿が見える。


そして、この部屋に入った瞬間、鋭い目で由里子達を睨み付けて声をあげた。


「おいっ!!」

「なっ、何!?」


いきなりの怒声に驚きながらも由里子がそう尋ねると、守は由里子へと顔を向けて右手に持っていた白い紙を由里子達に見せる様に突き出す。



「俺の入った部屋にこんな紙が置かれてたんだけど、どういう意味だ!」

「えっ……」


由里子は僅かにそう声を漏らすだけで、それ以上は何も言葉が出てこない。


守の見せ付けてきた白い紙に書かれている文に目を奪われたからだ。


「どういう意味って私達に聞かれても、何も答えられない」

「きっと知っているのは、僕達をここに閉じ込めた犯人だけですよ」


哲夫と修二の正論に守がチッと舌打ちをしている音が聞こえるが、それでも由里子の目は守の持っている白い紙に釘付けだ。