水が出るって事は、餓死させるとかそういうのは目的じゃないって事だ。
じゃあ、何の目的で……。
「憎む人を殺すかどうかを見る為……とか……かもね」
わざわざ拳銃を置いてあるなんて、由里子にはそれ位しか思い付かない。
「兎に角、一度元の場所に戻るとしますか」
溜め息混じりにそう言うと、元の場所へと戻る為に歩を進めていく。
がドアの前に来た時に、
「あっ、そういえば」
と手をパチンッ打つと開いたままだったドアの後ろ側へと顔を覗かせた。
始めに開けたドアは開けたままにしていたから、その後ろを確認してなかった。
まあ、多分何も無いと思うけど。
そう思っての行動だったのたが、壁の隅に置かれている分厚い本の様な物が由里子の目に入る。
「ん?」
首を傾げながらも近付いて手に取ってみれば、それは由里子にとっては懐かしいもの。
「何で国語辞典?」
今までは明らかに閉じ込められた事へのヒントの様なものであったのに、国語辞典に関しては、全くわけが分からない。