福西はお世辞にもいい父親ではない。そして、拳銃と手錠を持ち出した時点で刑事としても失格だ。
結局は、福西も5角形の部屋に居た5人とよく似たタイプという事だ。
大体の経緯を聞き終えた修二は、最後に…と言って、
「そういえば、犯人の声は男女どちらに聞こえたんですか?」
そう疑問を投げ掛けた。
「犯人は変声期を使ってたみたいだから、分からないな。男なのか、女なのか」
首を少し傾げて答える福西は、嘘など吐いていないだろう。
第一、ここまで複雑な事をする犯人がそんな所でミスを犯す筈がないのだから。
「まあ、……そうですよね」
一通り訊きたい事を聞いたからか、修二が何かを考える様に顎に右手を添えて、視線を床へと落とす。
その間福西は、修二に自分が犯人ではないと納得して貰えた事に安堵してか、ふぅっと息を吐き出していた。
暫くすると、考えが纏まったのか修二がスッと顔を上げ、福西の左手を指差した。
「あの。その手錠、さっき手に入れた鍵で開くかどうか一応やってみましょうか?」
福西の左手とデスクの脚を繋げている手錠。
それを5角形の部屋で、自分の手枷を外した鍵で開くか試してみようというものだ。


