「ああ。すまない。手錠は今、私の手につけられているものだ。だが、拳銃は何処にあるか分からない。多分犯人が持ってるんだろうが」
さらっと言ってのける福西だが、修二はそんな風に落ち着いていられない。
犯人は自分達を殺そうとはしていないという考えがあったとしても、もし何らかの理由で殺そうとしてきたら。
拳銃を持っている犯人から逃げ切る自信なんて、修二にはないのだ。
「何で刑事を辞める時にそんな物を持ち出したんですか?」
拳銃を取られたという事に苛立ち、キッと福西を睨み付けながら修二がそう言うと、福西は申し訳なさそうに頭を垂れる。
「辞表を出したのは、犯人からの電話の後直ぐだ。自分で家族を助けたかった」
さっきから家族の為。
そればかり。
でも、こいつは自分が可笑しな事を言っていると気付いていない。
そう思うと、じっと福西の目を見つめゆっくりと口を開く。
「本当に、……それだけですか?」
「どういう意味だ?」
間髪入れずに、そう訊き返してくる福西。
人は核心を突かれると、どんなに冷静を装っていても一瞬慌ててしまうものだ。
明らかに福西もそうだろう事が、この答えだけで分かってしまう。


