だが、直ぐに顔を元に戻すと、再び質問を口にした。
「犯人の要求は僕達を誘拐監禁する事と、ここでその文字を打つ事ですか?」
「いや、それもだが。……もう1つあった。犯人からの電話でこの場所を指定されやって来た時、何故だか分からないが、このデスクに置かれていた離婚届けを書かされた。
それからは、君達を誘拐してここに連れて来る指示が出るまで、ずっとここに今の様に監禁されていたよ」
「それも全部電話からの指示ですか?」
「いや、ここに来てからは指示の書かれた紙だ」
矢継ぎ早に質問を投げ掛ける修二に、福西は嫌な顔一つしない。
自分の言っている事を相手に信じて貰うには、隠さずに知っている事を言うべきだという事を分かっているのだろう。
だからか、福西は5角形の部屋に居た修二も含めた5人よりも遥かに饒舌だ。
「どうやら私は、ここに来た時から何度も気絶させられているらしい。その間に、コンビニ弁当や菓子パン等の食事と紙が置かれていたよ。
そして何よりミスをしたのが、辞表を出した時にこっそりと持ち出していた手錠と拳銃を取られた事だ」
「手錠と拳銃を!」
声を荒げる修二とは違い、ぽりぽりと自由な右手で頭を掻く福西に焦った様な雰囲気は微塵もない。


