脅されたという事は、奥さんと娘さんは人質というものだ。
誘拐され、何処かに監禁されていると考えるのが一番合っているだろう。
その考えに漏れる事なく、福西は頭を垂れ「もう、……居なかった」と口にする。
そして、その時を思い出す様に眉間に皺を寄せると、ポツリ、ポツリと話し始めた。
「家には誰も居なくて、……妻と娘を探している時に掛かってきた自宅の電話から『娘と妻を預かった』っていう脅迫だ。
まさかと思って疑う私の、声を聞かせろという要求に、電話から聞こえてきたのは紛れもなく娘と妻のものだった。『パパ、助けて!』っていう娘の声の後に『助けて、……あなた』と妻の声が続いたよ」
項垂れる福西の頭が上がる事はなく、ズズッと鼻を啜る音が響く。
「半年ぶりに聞いた声が、あんな怯えた声だなんて……」
呟く様に言ったその言葉。
それに修二が怪訝そうな顔をした。
半年も自分の家に帰っていないばかりか、家族の声すらも聞いていなかったというその状況を不審に思ったのだ。


