デスクの端にズラッと何本も並ぶペットボトル。中身は飲料水だと思われる。
そして、デスクの下に置かれているバケツ。それは、移動する事が不可能な福西がトイレ変わりに使用するものだろう。
福西が動けない事で安心した修二は、一歩ずつ福西がいる方へと歩を進め近付いていく。
福西の前まで来ると足を止め、
「あの。素朴な疑問なんですけど、何で僕の前の名字を知っているんですか?」
そう少し首を傾げた。
それにふっ…と鼻で笑う福西。
「刑事だったって言ったろ。13年前、幼児誘拐殺人事件を担当していたからさ」
刑事だった時に幼児誘拐殺人事件に関わっていたという修二の考えは正解だったわけだ。
「君にも1度会ってる。大きくなってるから、全然気付かなかったが」
「そう……ですか」
「当時は、犯人を捕まえられなくてすまなかった。だからこそ、今君が生きてこの部屋に来れた事を嬉しく思うよ」
少し頬を緩めて微笑む福西に、悪意は感じられない。純粋に修二が助かった事に安堵しているのだろう。


